情報とは何者か その2
情報のカテゴリ分け
西垣通先生の基礎情報学において、情報は3つのカテゴリに分けられる。
人間はある目的のために、周りの環境がどのような状態になっているかを、知覚し、概念として自分の中で理解し、その結果に基づいて行動を決定する。このときに環境の中の注目した”もの”や”こと”を、概念化し、記号化したものが「情報」であると理解される。筆者は、このことを簡単に、「情報とは、身の周りにある事象を人が自分と関係づけて理解したもの」という風に理解している。
では、情報とはどのように誕生するのか。3つのカテゴライズは、情報誕生のプロセスを理解するのにも役に立つ。
情報の誕生
生命情報
基礎情報学では、情報は環境の中に既存のものとして客観的に与えられるものではなく、人間の活動のプロセスの中で主観的に生起されるものとされている。これが、生命情報であり、最も原始的かつ一番広義の情報である。
生命情報は、人間の知覚器官により外界から取り込まれるものではなく、刺激を受け、自らの意味構造にもとづいて自己循環的に内部発生させるものである。先に述べた、「情報とは、身の周りにある事象を人が自分と関係づけて理解したもの」という筆者の情報の理解は、要するに生命情報のことだったのである。
人間の内部に主観的に生起する生命情報は、その価値も主観的であり、普遍的な価値をつけることはできない。しかし、同じ環境で生活する集団の内部では、基本的には同一の大賞から、かなりの程度類似した生命情報が生起していると考えられる。人間は、社会的に生物であり、人と人とコミュニケーションを取りながら生きている。この時、やり取りしているのが、社会情報である。
社会情報と機械情報
社会情報は、生命情報を身振りや手振り、言語などに記号化したものである。西垣先生は、人間社会で用いられるあらゆる情報は社会情報であると述べている。典型に使われる社会情報は言語であり、これは記号と意味内容が一体化したものであるが、この記号だけを取り出しものが機械情報になる。つまり、機械情報とは文字通りコンピュータが扱う情報のことで、データと言い換えることができる。
情報システムとは何者か ~序章~
コンピュータが処理する機械情報には、意味は存在しない。つまり、コンピュータや複数のコンピュータで構成されたネットワークは、ただのデータ処理システム(機械情報処理システム)なのである。よく間違われるが、データ処理システムと情報システムは全くの別物である。情報システムとは、生命情報から機械情報までの3つの情報すべてを取り扱う仕組みなのである。
次回は、情報システムについて整理していきたい。
参考文献
・新情報システム学序説、情報システム学会
・基礎情報学―生命から社会へ、西垣通